浪花人情紙風船団第12回公演 
      
  屋上の女達  その弐〜なんやこれ!〜
                作 源じおな  演出 三浪郁二 
             
          道頓堀ZAZA 4月25日(水)〜29日(日) 全8回

昨年に引き続き2作目の“屋上の女達”、 4人の出会いは前と同じ屋上、酸素不足に陥った金魚が
水面に上がってくるように、息苦しくなった女達は屋上を目指す!?
“なんやこれ!” と思わず言いたくなるような次々と迫る試練の中、女達はたくましく進んでいきます。

今回の洋さんは、クラブ歌手 “黒木冴” 劇中スリットの入った黒のロングドレスで 
♪ス・ワンダフル を歌い踊るセクシーでカッコいい場面も、しかし名前のようには冴えてはいない彼女の人生、次第に心の内が見えてきます。

屋上で知り合った女達が、偶然にもデパートのエレベーターに乗り合わせ、閉じ込められてしまう。
そんな緊急事態に4人は混乱しながらも、奇妙な連帯感で乗り越え、やがて無事救出される。
不運のあとには幸運が?・・・
青山マリがこのデパートの社長令嬢であったため、お礼に父親から皆に海外旅行が贈られた。
憧れのチャーター機高級リゾートへ向かうが再びの不運、チャーター機は故障しパイロットは一人脱出、
残された4人は絶体絶命、しかし、このとんでもない事態にマリの機転でなんとか無人島に不時着。
それから4人のサバイバルが始まる。

出会いのきっかけは “ケータイ”
単身赴任中の夫の不倫疑惑に、夫からの着信を無視続ける主婦 赤井公恵(和泉敬子さん)。
CDを出すための大金を持逃げした男に、怒りの留守電を入れ続ける 黒木冴(洋あおいさん)
気の利かない部下からのケータイに切れ、説教する中間管理職の横田龍子(紅萬子さん)。
仕事場に馴染めずスマホのゲームに癒しを求める、青山マリ(恵宝ねいろさん)。
相手の顔が見えない機会(ケータイ)に言いたい放題の怒りをぶつける女達は、滑稽で同時に怖ささえ感じる。   ゲームの中で農業に励むマリの現実からの浮遊感が妙に可笑しい。

閉じ込められたエレベーターでは、肝心のケータイは「圏外」
パニックに陥りながらも、さすが“屋上の女達” とりあえずの心配を解決した後は、お菓子依存症のマリの紙袋いっぱいの駄菓子を囲んで女子会さながらのおしゃべり、女達の楽観的な切り替えの早さ、グッと親しみを感じつ赤井の“おばちゃん”振りと、ピンチをたくましく乗り切ってしまう4人に笑えました。

リゾート行きに唯一国際使用できるケータイをホテルに残し、携帯しなかった横田。
旅行の最終日だけに仕事を忘れたい! 常にリーダーシップを取り上昇志向のキャリアウーマンと見えた彼女の休暇にかける必死の思いが・・・
無人島で連絡手段を断たれ、皆に責められ、言い訳する横田に強いだけじゃない彼女の心の奥を覗いた思いがしました。

黒木冴の虫嫌いが発覚!
無人島探検に颯爽と出発したものの、黒木冴は都会生まれのネオン街育ち、南の島の虫の多さに髪を振り乱して大パニックに、気を取り直して皆で歌った 「手のひらを太陽に」 の歌詞のオケラやミミズにも駄々っ子のように反応してしまう黒木冴に爆笑でした。

満天の星、大きな自然の中で女達は心を開いていく。
日々、一人家で娘の帰りを待つ年老いた母を思いやる横田。
単身赴任先で家族のために頑張っている夫を省みなかった自分自身を反省する赤井。
社長令嬢と言っても愛人の娘と告白する青山。

間もなく解雇され歌手への夢も生活も立ち行かなくなる不安を語る黒木冴。
歌手を目指しクラブで歌いながら何とかCDを出し、夢を繋いできた店が閉じることに、エレベーターから救出された時、対応の無礼なデパート社員を思わず平手で打った黒木冴の勝気さの裏に、一人頑張って生きてきた彼女のいじらしさが見え心動かされました。

無人島には人が住んでいた!・・・
突然現地の人が訪ねてきた。  驚き、喜ぶ4人だが言葉が全く通じない。
しかし、顔の見えないケータイと違い、お互いに顔を突き合わせて、身振り手振り、想像力を働かせ伝えあおうとする。  相手に意思や感情が伝わった時の痛快さを屋上の女達と共に味わいました。

波乱万丈の旅行の後、再会した屋上の女達。
横田は退職し認知症の始まった母と生きることに、赤井は夫と苦労を共にすることに、都会で不器用に生きていたマリはスマホの要らないあの島で再生することを選択した。
黒木冴は、遭難救助の報道を見た彼から半額の現金が戻され、それを元手に歌を教える教室を開くことに、 “屋上の女達”は新しい道を見つけ、ひとり一人歩き出した。

4人の女達と色々な役を演じる二人の男優(田村ツトムさん・和泉大輔さん)の舞台はそれぞれの年代の女性たちが、今抱えている問題を描いている。
熟年夫婦の在りようや、年老いた親の介護、突然のリストラ、生き方や仕事の自分探し等・・・。
女達の可笑しな出会いの中で、“人生は一つだけではない、色々道はあるよ” 
という作者(紅萬子さん)のエールが聞こえてくるようでした。